この度の地震によって被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
早速ではございますが、今回のコラムは耐震等級について誤った説明をしている不動産会社や営業マンが多々見受けれらますので、正しい知識を持っていただき今後発生する余震等の被害を少しでも抑えることが出来ればと思い執筆しております。
目次
耐震等級とは?
耐震等級は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下品確法)」で、施主に判りやすい耐震性の判断基準です。その耐震性能は等級1から等級3まで3段階に分けて表されます。等級1は、建築基準法レベルの耐震性能を満たす水準で、これ以下は危険というギリギリの耐震性能です。災害後に住み続けることは困難で、建替えや住替えが必要となることが多いです。等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の強さがあると定義されます。一般的に等級が上がるほど柱や梁が太くなり、窓などの開口部が小さくなる制約が出やすくなります。では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
耐震等級1(建築基準法の耐震性能を満たす水準)
・数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度=阪神・淡路大震災や2016年4月に発生した熊本地震クラスの揺れ)に対しても倒壊や崩壊しない
・数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度
耐震等級2
耐震等級1の、1.25倍の地震に耐えられる性能・耐震強度の水準です。「長期優良住宅」では、耐震等級2以上が認定の条件とされています。また災害時の避難所として指定される学校などの公共施設は、耐震等級2以上の強度を持つことが必須。
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられるだけの性能・耐震強度水準です。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルであり、一度大きな地震を受けてもダメージが少ないため、地震後も住み続けられ、大きな余震が来ても、より安全です。災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署は、多くが耐震等級3で建設されています。
耐震等級3だから安全??
この内容を良いように解釈すれば耐震等級3だから安全という不動産会社や営業マンがいてもおかしくはないでしょう。
ただ建築基準法および品確法においては、完成後初の地震を想定して等級1の基準を設定しております。
わかりやすく言えば
初回の地震で損壊している可能性がある建物が2回目以降の余震で設計当初の強さ(耐震等級)を維持しているかはルール化されていない(ルール化出来ない)と言う事です。
中には「熊本地震では等級3の住宅は2度の震度7に耐えていたことが、専門家の調査によって明らかになっているから安全です。」といった事を言う不動産会社や営業マンがいるかと思います。
はっきり「騙されないでください。」と弊社ではお伝えしております。
揺れ方や建物の形状(正方形・長方形・L型・コの字型など)・地盤の状況によって力が加わる箇所や強さが変わります。ですので基準法や品確法ではルール化出来ないのです。
また築年数によっては地震の被害を受けている建物も多数御座いますし躯体の損壊状況も把握できておりません(地震に対する強さの状況が不明)ので当初の耐震等級を維持している建物なのか否かが誰も証明できないのが現状です。
制振ダンパー装備の住宅では?
制振装置とはゴムや油圧・摩擦によって「地震による揺れを吸収・抑制」し、「建物の揺れによるダメージが構造体に伝わらないようにする」装置のことです。
ダメージを軽減できるので、設置されている方が安心と言えますが・・・
一定の震度までは意味の無い(役に立たない)制振装置もあります。
ダメな制振装置とは?
地震の揺れを吸収することで建物のダメージを躯体(柱や梁などの構造部)にダメージを伝わらないようにする為に設置するものですから、一定の強さの揺れまで突っ張る(力を受け止める様な)様な物は突っ張っている間はダメージを与えてしまいます。一般的な一戸建ては構造部は木ですので、制振装置の鉄が突っ張ると言う事は弱い方の木部にダメージを受けます。
なので【壁倍率取得】【壁倍率〇〇倍】なんて書かれている制振装置は強さを持っている証明を取得している訳ですから突っ張ると言う事です。
また「壁倍率がある」制振装置は、損傷防止ではなく倒壊防止として働きます。いわゆる、命を守るがもう住めなくなる可能性が高いということです。(株式会社M's(エムズ)構造設計佐藤実様著)
詳細についてはこちらの記事で執筆しております。
命を守るためには?
2000年以降の住居であればある程度の強さを保っている(新築以降の地震の回数や震度・躯体の損壊状況を誰も証明できない状況なので)と思われますが、可能であれば揺れを感じた際は屋外へ避難することが必要かと思います。
その際、飛び散ったガラスの破片や倒壊してきた建物の部材等から頭を守るために防災頭巾のようなものを準備しておくことが良いでしょう。
避難について
弊社では【リアルタイム被害予測ウェブサイト・アプリcmap】をお勧めしております。
物件ご確認(ご内覧)の際、アプリでは現在地の許可の権限付与していただいていれば避難所情報(避難所の地図や空状況・対象とする災害種別等)を可視化できる優れものです。
物件探しにおいてもこちらのコラムでも執筆しておりますがハザードマップ等もご確認いただけますので、是非下記アイコンよりダウンロードをお勧めしております。
アプリの紹介や使用方法は、アプリ発行元の【あいおいニッセイ同和損害保険の紹介ページ】からご確認いただけます。
PCからのご利用はこちらから(新規タブで開きます。)
アプリのダウンロードは下記アイコンから(新規タブで開きます。)
地震保険の継続漏れに注意!!
火災保険・地震保険は加入時期によって異なりますが、35年・10年・5年で保険期間が満了となります。
自動更新で契約をしている方なら少なくとも少しは安心できますが・・・
いざ被害にあった時に満了していたという方も少なからずお見えです。
このタイミングで保険が満了していないか?・保障内容は現在の建築コストに見合っているか?・保障内容は現在の家族構成と符合しているか?を見直してください。
保障不足等感じた場合は10月1日より火災保険料がおおむね10%程度上昇致しますので、中途解約・新規加入をお勧めいたします。
避難グッズについて(8月16日追記)
賛否両論あるかと思いますが、下記立地条件でかなり異なりますのでご注意ください。
■津波の有無
■土砂災害の有無
■河川氾濫の有無
■海から近隣河川の距離
地震で河川氾濫?と言われる方も多いのですが、大きな津波が発生すれば河川を逆流し氾濫する可能性も御座います。ですので海から近隣河川までの距離や河川氾濫の状況等も確認してください。
津波や土砂災害が発生するエリアでよく言われる「3日分の食料と水」を持って避難すると確実に逃げ遅れます。3日分の水(1日2リットル)で計算すると約6キロ+食料+アルファの重量となります。この重さの物を持って素早く高い場所へ駆け上がるのは至難の業ではないでしょうか?
では最低限の物はというと
■水(500ml)
■栄養バー・チョコレート・ビスケット等の携帯しやすいカロリー摂取しやすい食べ物
■モバイルバッテリー
■保険証
■お金(出来れば小銭(公衆電話用の10円を多く持っているとベスト)
■ポケットティッシュ
■防寒具(レインコートがベスト)
■懐中電灯
■常備薬(痛み止め・解熱剤など)
■生理用品
■ホイッスル(万が一遭難等した場合、音で居場所を気づいてもらうため)
避難をする場合上記の物で十分です。
強いて言うなら保険証・ポケットティッシュ・常備薬・お金はジッパーバック(ジップロック等)に入れておくと一定の防水効果があるので良いでしょう。
あくまで避難する事が第一条件となります。
お子様がお見えのご家庭では、【万が一はぐれたら、カバンの中のホイッスルを吹いて「避難所へ連れて行ってください」と言えるように教えてあげてください。】