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首都圏新築戸建て価格、2ヵ月連続下落

千葉県は大幅上昇だが・・・埼玉県は大幅下落傾向

(株)東京カンテイは10日、2025年6月の主要都市圏別・新築木造一戸建て住宅の平均価格動向を発表した。敷地面積100平方メートル以上300平方メートル以下、最寄り駅からの所要時間徒歩30分以内もしくはバス20分以内、木造で土地・建物共に所有権の物件が対象。

 首都圏の平均価格は4,714万円(前月比0.5%下落)と、2ヵ月連続下落。都県別では東京都が5,735万円(同0.9%上昇)と2ヵ月ぶりの上昇。神奈川県は5,053万円(同0.7%下落)と3ヵ月連続で下落。千葉県は4,130万円(同3.1%上昇)と2ヵ月連続で上昇し、過去最高価格を更新した。埼玉県は3,884万円(同2.5%下落)と4ヵ月ぶりの下落となった。

中古戸建の価格は?

東京・埼玉は大幅下落、千葉・神奈川は上昇傾向

首都圏の平均価格は4,039万円(前月比2.1%下落)と下落に転じた。都県別では、東京都は6,459万円(同5.1%下落)と下落。大きく上昇した前月の反動に加え、築年数は同じでも建物面積などが縮小した。神奈川県は4,334万円(同2.0%上昇)と2ヵ月連続で、千葉県は2,943万円(同1.9%上昇)と2ヵ月ぶりに、それぞれ上昇した。埼玉県は2,849万円(同5.1%下落)と下落。築年数に変化はないものの、平均土地・建物面積がいずれも3%程度縮小した。

今後の動向は??

貸出増加支援資金供給制度の終了に伴う影響

日銀は1月の金融政策決定会合で貸出増加支援資金供給制度」の新規貸し出しを6月末に終えると決めた事もあり、制度の活用で攻勢に出ていたネット銀行には逆風となりそうです。

どのような影響があるのか?

この制度の終了により、いくつかの影響が予想されます

  1. 金融機関の資金調達コストの変化
    低金利での資金供給がなくなることで、金融機関は代替の資金調達手段を模索する必要があります。これにより、資金調達コストが上昇する可能性があり、特に中小金融機関やネット銀行など、制度に依存していた機関に影響が及ぶかもしれません。
  2. 貸出姿勢への影響
    制度終了により、金融機関が貸し出しを控える可能性が指摘されています。特に、住宅ローン市場では、ネット銀行の積極的な貸出攻勢に陰りが見られる可能性があります。また、不動産価格に対してはマイナスの影響が及ぶ可能性も考えられます。
  3. マネタリーベースと短期金利
    ドイツ証券の小山賢太郎チーフエコノミストによると、制度終了に伴い、国債担保の需要が低下し、マネタリーベースの減少が短期金利の上昇圧力となる可能性があります。これは金融市場全体に波及する可能性があり、市場金利の動向に注目が必要です。

大きく言えば上記3点となりますが、住宅取得に対する影響は上記1・2が大きな影響を及ぼす可能性が御座います。

不動産価格になぜ影響が出るのか?

これはいたって簡単です。
不動産価格は需給バランスによって左右されます。
購入を希望する人が多くいるから競争の原理が働き相場は高くなるということです。
持ち家で住宅ローンを利用している方の割合は【三井住友トラスト・資産のミライ研究所】の2024年の調査結果によると約8割の方が利用されている(されていた)との調査結果となっております。
貸出を控えるや貸出審査が厳しくなる、金利が上昇するといった事に繋がれば当然購入を希望する人は減少すると思われます。
そうなれば現在の需給バランスが崩れる可能性が高くなります。
冒頭にお話ししたように不動産価格は需給バランスで左右されますから、バランスが悪い方に崩れれば価格は下がるという形になります。

不動産価格指数の推移

不動産価格指数とは、国土交通省が毎月公表している不動産価格の動向を指数化したものです。年間約30万件の取引価格情報を基に、全国・ブロック別・都市圏別等の動向を物件種類別で算出されています。
下のグラフのとおり、住宅地、戸建て住宅、マンションのいずれも2013年頃から価格が上昇傾向にあります。

引用:国土交通省『不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)』令和 6年10月31日発行
土地の価格の推移

国土交通省の「令和6年第3四半期 地価LOOKレポート」によると、調査対象の全80地区において土地価格が上昇しており、横ばいや下落した地区はありませんでした。
また住宅地では22地区すべてが10期連続で価格が上昇し、緩やかな上昇傾向が続いています。商業地でも58地区すべてが3期連続で上昇する一方、一部の地域では価格の上昇傾向が落ち着きを見せる動きもあります。

引用:国土交通省|令和6年第3四半期地価LOOKレポート(P2)
戸建て住宅・マンションの価格の推移
引用:国土交通省

戸建て住宅の価格推移は、土地付き注文住宅と建売住宅で異なる傾向を示しています。

同調査より、土地付き注文住宅の価格は2013年度の全国平均3,637万円から、2023年度には4,903万円へと約1.35倍に上昇しました。一方、建売住宅の価格は2013年度の3,320万円から2023年度には3,603万円へと、約1.09倍の上昇にとどまっています。

一方マンションの価格推移は、2012年頃から緩やかに上昇を続けてきましたが、2021年を境に急激に高騰しています。また2013年度時点では全国の平均価格が3,862万円でしたが、2023年度には5,245万円に達し、約1.36倍となり注文住宅同様の上昇となっております。

不動産会社としての今後の予測は?

不動産歴22年の筆者の見解としては、こればかりは何とも言えないというのが正直な話です。
特に新築戸建ての場合、建築コストや土地の仕入れコスト・建築会社の利益(人件費等)の合計で販売金額は上下します。
土地価格は下落しても、建築コストや人件費の上昇により相殺され横這いの可能性もありますし、上昇する可能性も御座います。
中古戸建にしても、【新築戸建ての金額が下がってくれば、当然価格を下げないと売れない】状態になるでしょうし、逆もあり得ます。
また人口変動の影響も出てくるでしょう、人口動態の変化は、不動産価格に影響を与える要素のひとつです

東京都(大都市圏)の今後について

日本全体では人口減少が進んでいるものの、東京などの大都市圏では人口集中が続いています。この傾向により都心部の不動産価格は上昇傾向にある一方、地方では価格下落のリスクが高まっています。

埼玉県の今後について

平均相場をコロナ渦前後で見ると【戸建て住宅・マンションの価格の推移】の表で見る限りでは全国平均では100万円程度の上昇になっておりますが、さいたま市においては500~700万円程度上昇している感じがしております。
ただここ数か月は販売開始時の価格で成約となる物件が非常に少なくなってきている印象で、価格が販売当初より400~600万円下がった時点で成約となっている印象です。
これは金利上昇の影響・出社回帰の影響が大きいと思っており、今後の相場としては、その他の要因(人件費高騰・建築費高騰等)にもよって変わる可能性も御座いますが、コロナ渦前の相場に緩やかに戻っていくのでは?と思っております。

価格が上がることは?

再開発の状況等によって大きく異なってくると思います。
リセールを考えて購入を検討するのであれば、再開発の計画の有無を事前に調べて購入する必要があるでしょうし、買ってすぐ売却する訳ではないでしょうから【現時点での相場価格をもってリセールが高い】と言う不動産会社の嘘を信じて購入するべきではないと考えております。
今後の価格の上昇・下落は完全に言い当てることは不可能ですが、公開されている情報(再開発計画や人口推移、円相場、災害リスク、鉄道整備状況等)を多角的にみて予測することは可能だと思っております。
それを踏まえた上での予測となりますが、大宮区・浦和区・川口市・所沢市・和光市は横這いか上昇、人口減少がみられる地域の秩父市、本庄市、行田市、羽生市、加須市は下落傾向に向かうと思っております。

まとめ

●(株)東京カンテイの調査では、埼玉県の新築戸建ては3,884万円(同2.5%下落)と4ヵ月ぶりの下落、中古戸建の平均価格は2,849万円(同5.1%下落)と下落と下落傾向にある。
●貸出増加支援資金供給制度の終了に伴いネット銀行や中小地方銀行は貸出控えや貸出金利があり需給バランスが悪化する可能性がある。
●不動産価格は需給バランスによって左右される。
●新築戸建ての場合、建築コストや土地の仕入れコスト・建築会社の利益(人件費等)の合計で販売金額は上下する。
●価格の上昇は再開発等影響によって変わってくるのでリセールを考えるのであれば、再開発状況も把握しておくべき。
●大宮区・浦和区・川口市・所沢市・和光市は横這いか上昇、人口減少がみられる地域の秩父市、本庄市、行田市、羽生市、加須市は下落傾向に向かうと思う。
こちらの記事でも記載した通り、価格高騰のピークは2023年