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政策金利0.5%に引き上げ決定!17年ぶりの高さ
日銀は24日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・25%程度から0・5%程度に引き上げることを決めた。利上げ決定は昨年7月以来で、政策金利は2008年10月以来、約17年ぶりの高さとなります。
物価の上昇傾向が続いており、25年春季労使交渉(春闘)で前年と遜色ない賃上げの勢いが確認できたため、利上げの環境が整った。20日に始動したトランプ米政権が関税発動を先送りし、市場が大混乱に陥らなかったことも考慮したとみられております。
年内にさらに引き上げか?

日銀は今後も利上げを続ける方針で、次は年内に0・75%程度への引き上げが視野に入る。金融緩和による超低金利が長く続いた日本では、30年近く経験していない金利水準となります。
住宅ローンへの影響は?
これまでの利上げは変動・固定金利ともに上昇傾向
変動金利型の住宅ローンを組んでいる世帯では返済負担が増大する。政策金利が 引き上げられる場合、住宅ローン金利も同じ幅で上昇する可能性が高い。と言われておりますが、前回0.25%に上昇した際の住宅ローンの上昇平均は0.15%の上昇となっております。
今回も同じとは本日時点では何とも言えませんが、前回同様の政策金利上昇分の利率分上昇するのでは無く少し低い金利の上昇になるのでは?と考えておりますが、最悪の場合(政策金利と同等の上げ幅)を想定しておいたほうが良いでしょう。
どれぐらい影響が有るのか?
ここでは、政策金利上昇率と同率分住宅ローン金利が上昇した事を仮定し下記条件でシュミレーションしてみます。
借入額(借入残高):3,000万円
金利種別:変動金利
当初借入期間:35年
当初借入金利:0.5%(政策金利0.25%の時に借入を行ったものとします。)
5年ルール・125%ルールは加味しないものとします。
当初変動金利0.5%で借金融機関によっては元利均等返済でも5年ルールと125%ルールがない住宅ローン商品もあります入を行った際の月々支払額:77,875円
政策金利上昇に伴い借入金利も0.75%となった場合の月々支払額:81,235円
となります。
返済負担の増加額は上記借り入れ世帯で年約4万円となります。とはいえ最近の調査では20~30歳代の若年世帯では年9万円との試算もあります。これまでの低金利環境の影響や資材の高騰等の影響で世帯あたりの住宅ローン借入額は増える傾向にあり、若年世帯の平均借入残高は全世帯平均よりも高い4,000万円に達していると言われております。さらに変動金利を選択している世帯が全体の7割近くにのぼり、日銀の利上げが返済負担に及ぼす影響はかつてよりも大きくなってくると思われます。
5年ルール・125%ルールについて
5年ルール、125%ルールは一時的にローン支払の「急激な変化」を抑制するための仕組みであって、「総返済額を減らす」仕組みではありません。したがって、このようなデメリットがあるということも忘れてはいけません。毎月の返済額が急激に変化しないとはいえ、住宅ローン金利の動向は注視しておくことをおすすめします。
金融機関によっては元利均等返済でも5年ルールと125%ルールがない住宅ローン商品もあります
未払利息とは

上記の通り住宅ローンの金利が上昇しても、5年ルールと125%ルールがあれば、急激に毎月の返済額が上昇することはありません。しかし、金利が上がると利息は増えるので、毎月の返済額に占める利息部分の割合が増えていることになります。
金利が極端に上昇した場合は、理論上、毎月の返済額の全てが利息の支払いになることも考えられます。
毎月の返済額よりも利息の支払金額の方が大きくなると、元金の返済は一切進まず、さらに未払いの利息が発生することになります。この支払いきれずに返済が後回しになった利息のことを「未払利息」といいます。
未払利息の怖さ
125%ルールが設けられている場合は、金利の上昇時、25%の返済額の上昇では、支払利息の増加金額に追い付かず、返済額の見直し後でも未払利息が発生し続けることもあり得ます。債務者は、返済期間の最終時点で、未払利息と元金を全額返済しなければいけません。最終的に、住宅ローンの一括返済のために、金融資産の大部分を失ってしまったり、自宅を売却したりしなければならない可能性もあります。
5年ルールと125%ルールは、金利の上昇による返済金額の急上昇を抑える効果はありますが、未払利息が発生しやすくなり、さらに債務者がその事実に気がつきにくくなるという副作用があります。
変動金利に5年ルールと125%ルールがない金融機関がある
変動金利の住宅ローンでも5年ルールと125%ルールがない金融機関もあります。そもそも、5年ルールと125%ルールは、変動金利でかつ元利均等返済を選択した場合に適用されるルールです。「元金均等返済」を選択した場合は、一般的に5年ルール、125%ルールは対象外となります。また、金融機関によっては元利均等返済でも5年ルールと125%ルールがない住宅ローン商品もあります。
5年ルール・125%ルールが有るから安心ではない
上記の通り、金利が上昇して5年ルール適応時においては、月々の支払額のうち利息の割合が増える形となり、元本の返済は行っていない(減額されている)状況となります。
よって、ローン完済時期が来ても残高が残っており一括返済を求められます。
解りやすく説明すると「金利上昇分の支払いを後回しにしているだけ」ということです。
住宅ローンの契約(金消契約)の際、銀行から説明が必ずされるのですが・・・
大半のお客様は覚えていないのが現状です。
住宅購入への影響は?
考えられる影響についてお話致します。
①:当然ですが住宅ローンの金利が上昇する。
②:月々の支払額を重視するお客様が多い為、金額の下がった物件や金額の低いエリアの物件への問い合わせが増加する。
③:②のエリアに関してはコロナ下の時の様に建築中で成約していく可能性がある。
④:高額帯のエリア・物件については築後未入居となっていく可能性がある。
⑤:ローン支払いが苦しくなったお客様の売却依頼が増える。
=在庫過多になり相場が崩れる。
特にマンション購入にはご注意を
このあとも日銀は政策金利を上げていく方針を打ち出しております。
また人件費の高騰も実感している方も多いと思いますが、人件費は高騰し続けております。当然管理人の給与や修繕の際の職人の給与も上がってきております。
ということは、住宅ローンの月々の支払い額の上昇に加え、管理費・修繕積立金の上昇も考えておかないと駄目ということになります。
まとめ
・日銀の政策金利上昇に伴い、住宅ローンの変動金利も上昇する可能性が高い。
・住宅ローン金利が上昇すると3,000万円を35年、変動金利で借り入れた年間の家計負担は4万円程度上昇する。
・5年ルール・125%ルールのデメリットとして、完済時期にローンが残っており一括返済を求められる可能性がある。
・住宅ローン金利が上昇すると、高額帯のエリア・物件は売れづらくなる可能性が高く築後未入居物件が増える可能性がある。
・逆に低額帯のエリア・物件にお問い合わせが集中する可能性があり、コロナ下の時のように建築中に成約となる可能性がある。
・ローン支払いが厳しく売却せざるを得ないお客様が増える可能性があり、そうなった場合在庫過多となり相場が崩れる。
・マンション購入の際は、ローン支払い額だけではなく、管理費・修繕積立金の上昇も視野に入れておく必要がある。