昨今の電気代の高騰や東京都では太陽光発電設置が義務化となり、太陽光発電の設置を検討されている方が多くなってまいりました。
そこで、大多数のお客様が勘違いされている事が見えてきましたので解説いたします。
目次
エアコンを使う夏に多く発電するので得じゃないの?
太陽光発電の発電量は、日照時間が長ければ長い程増加します。となると、やはり発電量が増えるのは、7月~8月にかけての夏の時期なのではないかと思われがちですが・・・
じつは夏が発電量のピークではないのです。その原因は、夏の高い気温。太陽光発電所関連の設備は精密機器となり、太陽光パネルやパワーコンディショナーなども、気温による影響を受けてしまいます。そのため、気温が上昇することで、発電効率も悪くなってしまいます。
各メーカーが発表している太陽光パネルの性能データも、基本的に気温が25℃一律で計算されています。25℃から1℃上がると、発電効率は約0.4~0.5%下がると言われています。
真夏の気温が40℃の日の場合、ソーラーパネルは70℃近くまで上昇すると考えら、発電効率がなんと10~20%近く落ちてしまうとされております。
何月ごろが一番発電するの?
ソーラーパネルの特性や日照時間などを踏まえると、1年の中で最も日照時間が安定する、春から初夏(3月~5月)が、発電量が高くなる時期といえます。
イメージとして
初夏(3~5月)を100とした場合
夏季(6 ~ 8月)は9割程度
秋季(9 ~11月)は8割程度
冬季(12~ 2月)は半分程度
と考えてもらうと大きなずれはないかと思います。
売電出来るから収入があるのでは?
必ず売電が出来るとは限りません。今は事業用の太陽光発電所が大きな割合を占めておりますが、現在のルールでは出力10kW未満の太陽光発電設備は、当面の間出力抑制はされませんが、設置義務化や共働き世帯の昼間の電力使用量の減少等の影響もあり家庭用太陽光発電も影響を受けるといわれております。(2023年度は日本全国で18億kWhの出力制御が実施されています。)
出力制限とは?
出力制御とは、電力の発電量が使用する量を上回った際に、発電量を抑えて「需給バランス」を整える措置のことを言います。(出力制御は「出力抑制」「電力制限」と呼ばれることもあります。)
出力制限がかかる発電所の優先順位
電力が余剰とはいえ、原子力発電所を止めると再稼働に時間を要するなどの弊害も生じる為、下記の図のように優先順位をもって制限を実施されます。
なお②の他地域への送電に関しては、送電網が整備されている・他地域で制限が発動されていない事が前提となります。
今後安定して売電できるとは限らない。
元々家庭用太陽光発電は出力制限の対象では御座いませんでした。
2015年1月26日に再エネ特措法が改正で10kw以上の家庭用太陽光が対象になりました。
改正から丁度10年の節目の年に東京都では設置義務化となり、今後どれくらいの発電量となり自家使用がどれほどになるのかが法改正に動くか否かに関わってくるでしょう。
法改正によりw数の制限が撤回されれば、必ず売電出来るとは限らなくなります。
いつか元が取れるのでは?
こればかりは、正直どれくらいの期間で元が取れるかお答えできません。
・その年の天候や気温の状況
・太陽光パネルの寿命※1
・パワーコンディショナーの寿命※2
などが大きく影響してまいります。
※1:太陽光パネル製品そのものの耐久性能としては20年〜30年は発電可能とされています。
※2:パワーコンディショナの製品寿命は10年超といわれております。
さらに環境省と経済産業省は2024年9月13日、太陽光パネルのリサイクルの制度整備に向けた議論に着手しており、来年に関連法案提出、罰則も検討といわれております。
太陽光パネルの寿命を30年とした場合の追加コスト
パワーコンディショナーの寿命が10年程度といわれておりますので、
・10年目に部品交換による修理※1
・20年目にパワーコンディショナー交換※2
は最低必要となります。
※1:部品交換修理・一般的に交換費用は「5〜10万円」
※2:パワーコンディショナー交換・一般的には機械代は約20万円程度が相場で設置の工事費として、10万円から15万円の計30~35万円が必要
上記にプラスして、30年で廃棄した場合は足場代15万円~20万円前後+輸送費+リサイクル費用としてパネル1枚当たり2,000円~4,000円程度が必要となります。
固定資産税は?
固定資産税はかかるの?とよく言われますがパネルの種類によって課税対象か否かが変わってまいります。
タイプごとにご説明いたします。
既存屋根取り付けタイプ
・各種メーカー
家電製品と同じ扱いで固定資産税の課税対象外
屋根一体タイプ
・カネカ/VISOLA(ヴィソラ)
・京セラ/HEYBAN(ヘイバーン)
・シャープ
など
機能性を持つ屋根材として固定資産税の課税対象
上記の通り課税対象なのか非課税なのか太陽光の種類(一体型なのか既存屋根に後付けのタイプなのか)によって変わってまいります。
まとめ
東京都の設置義務化や電気代高騰で注目を浴びている太陽光発電ですが、仕組みやデメリットを理解しないと家計の手助けのつもりで設置したが逆に圧迫するなんてことも考えられます。
本記事のまとめは以下の通りです。
・発電量の多い時期は夏場ではなく初夏(3~5月)である。
・いつまでも余剰分を売電出来るとは限らない。
・メンテナンス費用等の維持管理費を含む金額を考えて元が取れるかどうかを判断するべき。
・太陽光パネルの種類によっては固定資産税の課税対象となる。
お家の事なら相談は無料ですのでお気軽にご相談ください。