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エルザタワーの大規模修繕から考えると
2015年にエルザタワー55の大規模修繕(約2年間の工事)がスタートした時、その工事費用は12億円と発表されました。
エルザタワーの場合は、比較的安価に済んだ理由として管理組合が積極的に活動をしていた事だと思います。実際2007年から修繕工事を委託する会社選びを行っていました。
数多くの会社に見積もりを依頼し、費用の内訳を明確に提示してもらい本当に必要な修繕について細かくチェックして行ったことで、必要以上に高い費用をかけた修繕をせずに済んだのです。
このころの全国の最低賃金の平均は798円、2024年現在は1,054円となっており最低賃金だけで見ると約1.3倍となっております。
また建築費についても高騰しており建築物価調査会の2024年8月のデータによると2015年比較でこちらも約1.3倍となっております。
月1万円程度なら修繕積立金をそれより多く支払っているから大丈夫?
表向きは大丈夫に見えます。
それは大規模修繕以外に修繕を行って来なかったらが大前提です。当然共有部の電灯の交換も行うでしょうし、配水管の洗浄も数年ごとに行っており積立金は使っているはずです。
またエレベーターの交換も30年毎にと言うのが定番となっており、1機向きは大丈夫に見えます。それは大規模修繕以外に修繕を行って来なかったらが大前提です。当然共有部の電灯の交換も行うでしょうし、配水管の洗浄も数年ごとに行っており積立金は使っているはずです。またエレベーターの対応年数も約20年(部品供給は約25年)と言われており、交換には一基あたり数千万ともいわれています。
今新築でタワーマンションを購入したら
労働組合の中央組織である連合は、2035年までに最低賃金を時給1600~1900円程度まで引き上げる目標を掲げています。
これは2015年に比べ約2倍~2.4倍にあたり、当然建築コストも同様に上がってくる事も予測される事から大規模修繕費用も同じく最低でも約2倍~2.4倍になると考えていた方が良いと思います。
修繕積立金の額が変わらないと仮定すると初回の大規模修繕で約24億~29億円かかる計算となります。総戸数が約650戸のエルザタワーだと2度目の大規模修繕工事となりエレベーターの交換が7基分必要となりますので1基あたり2,000万円と仮定しても1.4億円はプラスで掛かる事から1戸当たりの負担が1戸あたり約420万円~460万円程度の負担となります。
この辺りを理解して購入されるのであれば何ら問題は御座いません。
ただ大半の方は【その時期になれば売却すれば・・・】【管理会社がなんとかするだろう・・・】と思っておられると思います。
管理会社はアドバイザーの立ち位置であり、実際決定していくのは所有者で構成する管理組合です。最近は海外の方が投資目的として購入している事も多いのでエルザタワーの管理組合の様に所有者全員の合意を取って数年前から準備することは困難だと思います。
修繕積立金が足りない場合はどうなるの?
大きく分けて2つの方法が一般的です。
①臨時徴収して不足分を補う。
これは所有者が全員居住している場合に賛同を得やすい方法です。
②将来徴収予定の修繕積立金を担保として借入を行う。
もう一つの方法は借入を行う方法です。この場合、次の大規模修繕の時に資金不足になる事は明白な為修繕積立金の値上げは必須になると思われます。
③大規模修繕を行わない(先延ばしする)
現実的ではないですが、上記①②について一定数の同意を得られない場合はやむなく延期・中止するしか方法がない状況となります。
①~③のどの方法になっても資産価値を下げてしまうことにもなり兼ねません。
エレベーターなしの低層マンションの時は良かったが・・・
エレベーター設置のマンションには以下の法律が定められております。
- 建築基準法第8条では、建物の所有者や管理者は建物や設備を常に適法な状態に維持する義務が定められており、エレベーターもその対象です。
- 建築基準法第12条の3項では、エレベーターは年に1回の法定点検を受けることが定められています。
- エレベーターの主要装置の耐用年数は概ね20年とされており、部品供給期限も25年間程度です。
- 点検結果は特定行政庁に報告する必要があり、報告を怠ったり虚偽の報告をしたりすると100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
エレベーターの保守費用は1台あたり2~6万円/月(フルメンテナンス契約の場合)が相場となっております。年間24万~72万円が1台当たりのコストとなり、総戸数650戸のエルザタワーの場合、エレベーターの数が7基ですので168万円~504万円/年・1戸当たり2,584円~7,753円が年間負担額です。
まとめ
タワーマンションの場合、
- 複数台のエレベーターの定期点検・交換作業が必要となる。
- 大規模修繕工事に多額のコストと時間が掛かる。
- 人材不足・人件費高騰が今の時点でほぼ確定している
- 修繕積立金が不足している場合は臨時徴収・修繕費の値上げ・借入・中止延期となる可能性が高い。
- 修繕積立金が不足となった場合、資産価値が下がる可能性が高い。
ということになります。
戸建ての場合は、建坪30坪程度の物件であれば15年毎位の頻度(マンションの大規模修繕と同様のスパン)で屋根・外壁の塗装で100万円前後となり月額負担額も約半分のコストとなります。
マンションの掲載も行っているので、こんな記事を書く事自体ナンセンスかも知れませんが・・・管理費・修繕積立金・お車をお持ちであれば駐車場代がローンとは別にかかってくるのがマンションです。戸建てとの維持費の差が仮に25,000円あれば今の変動金利だと1,000万円程度予算を上げることが可能です。【一度はタワマンに・・・】と言う事であれば、賃貸で住んでみるのもいいかも知れません。