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物件価格上昇に伴いペアローン利用者が増加
昨今の物件価格上昇に伴い、ペアローンを利用する方が増えてまいりました。
確かに、希望のエリアで物件を購入しようとすると、コロナ前と比べ原材料の高騰や巣籠り需要の増加等の影響もあって物件価格が上昇しており、住宅購入のハードルが上がって来ております。
その影響もあり今までは単独で住宅ローンを組めたご家庭も収入合算やペアローンを組まないと購入できなくなってきている状況となっております。
ペアローンの団体信用生命保険(団信)について
今までペアローンで住宅ローンを組む場合の団信は、下図の通り債務者それぞれが団信に加入しどちらか一方になにかあった場合、その一方の残債がなくなる団信でしたが、2024年よりペアローン団信(連生型)といった商品の取り扱いが開始されました。
ペアローン団信取り扱い金融機関(順不同)の一例(2025年1月時点での内容)
みずほ銀行・・・上乗せ金利0.2%で加入可
りそな銀行・・・上乗せ金利0.15%(ペアがん団信は0.25%)で加入可
三井住友銀行・・・上乗せ金利0.18%で加入可
auじぶん銀行・・・上乗せ金利0.3%〜で加入可
PayPay銀行・・・上乗せ金利0.2%〜で加入可
こう見ると・・・金利は上乗せになるがメリットも多いのでは?
確かに住宅ローンを支払っているだけで双方なにかあった際も住宅ローン残高がなくなるのでメリットが多いと思うのですが・・・
金利上乗せによって月々の支払いがどうなるのかシュミレーションを行ってみます。
シュミレーションを行うにあたっての基準内容
・物件価格:3,980万円
・諸費用:約180万円
※弊社で仲介手数料無料で購入した場合、建売住宅のオプション工事60万円で計算
・借入費用:約100万円(借入金額の2.2%で計算)
・頭金(自己資金):0円
・借入総額:4,260万円
・借入期間:35年
・ボーナス時支払い:なし
・金利:変動金利0.5%
・ペアローン上乗せ金利:0.2%
※金利上昇・繰上返済はシュミレーションには想定しないものとします。
単独借入・ペアローン(従来型団信)の場合
月々支払額:110,583円
支払総額:46,444,798円
利息合計:3,844,798円
ペアローン団信(連生型)利用の場合
月々支払額:114,389円
支払総額:48,043,535円
利息合計:5,443,535円
差額
月々差額:3,806円
支払総差額:1,598,737円
利息差計:1,598,737円
月々4,000円程度で住宅ローンがなくなるならいいんじゃないの?
と思いますよね・・・
ここには大きな落とし穴があります。ペアローン団信の重要事項(約款)にも明記している内容ですが小さな文字で書かれている約款を熟読する方は非常に少数であり、いざ恩恵を受ける時期が来た時にその内容を覚えている方は皆無です。
一番のデメリットは恩恵を受けた側が免除された額は一次所得になるということです。
具体的には、契約者が死亡し配偶者の住宅ローン残高が免除されると免除された額は一次所得として扱われ、生命保険受取額とは異なり所得税の対象となるということです。
課税額はどれくらいになるの?
詳しくは、最寄りの税務署等で確認して頂きたいのですが、
一次所得=総収入額ー収入を得るための経費ー特別控除(最大50万円)
となり、仮に1年で契約者が死亡し2,000万円の支払いが免除され、配偶者の年収が400万円と仮定した場合、上記の数式に当てはめると
一次所得=2,000万円ー45,672円(上乗せ差額3,806円×12)ー50万円(特別控除の最大額)となり一時所得額は19,454,328円となります。
これに一時所得の課税額が1/2と決まっておりますので、9,727,164円が課税金額となります。
どれくらい納税する必要があるの?
納税額に関しても詳細は最寄りの税務署にてご確認いただきたいのですが
納税額=(一次所得の課税額+給与所得等その他の所得ー各種控除)×所得に応じた所得税率ー控除額
で計算いたします。
試算結果
配偶者の年収が400万円とした場合でのシュミレーションをしてみましょう。
納税額=(9,727,164円+4,000,000円ー1,250,000円(給与基礎控除)ー1,100,000(社会保険料控除)ー480,000円(基礎控除))✕33%−500,000円=3,096,064円
が納税額となります。
生命保険で現金を受け取って配偶者分の残高を繰上返済した方がお得
確かにペアローン団信は一見メリットはあるように見えるのですが、免除された住宅ローンの残債は一次所得に該当し所得税の追加納付が必要となり、また住民税等においても課税対象になる可能性があるため弊社ではデメリットでしかないと考えております。
生命保険の受取金は課税対象とならないので、死亡・高度障害だけであれば、【共済等の掛け捨ての生命保険】に加入するほうが、生命保険料控除等も利用出来ますので良いかと思います。
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